過去にも書いたが、アメリカの黒人歌手の歴史に残る名歌手であり、エンターテイナーである。「バナナ・ボート」や「ダニー・ボーイ」、「マティルダ」を知らない人はいないだろう。黒人ならではのハスキーで張りのある声で歌われる名曲の数々に魅了された人も多いと思う。また、会場全体を支配してしまう絶妙のトーキングなども、後にも先にも、これ以上の人はいない。
代表盤が、1959年の「カーネギー・ホール・コンサート」である事は、今さら言うまでもないが、僕が幼少時に、母親が持っていたLPレコードによって魅力に取りつかれ、僕の音楽性を形成する大きな力になった名アルバムが有る。
それは、黒人歌手のカリスマであるベラフォンテが、黒人霊歌(スピリチュアル、奴隷時代の黒人の心情を語った歌)ばかりアカペラで歌ったアルバム、"My Lord What a Mornin" である。以前もCD化されており、アメリカのアマゾンで買って愛聴していたが、今回、再びリマスタリングされ、装いも新たに発売された。
このアルバムは、まさに黒人霊歌の神髄である。手に入るうちに、値段も安いので、一人でも多くの人に聴いて欲しい。日本のアマゾンでは納期がかかるので、アメリカのアマゾンのURLを紹介しておく。
全てが素晴らしいが、中でも、「Oh Freedom」と「Swing Low」は、涙なしには聴けない。また、今回はボーナス・トラックも含まれており、今までのCDを持っている人も、買い替える価値が有る。
ハリー・ベラフォンテは、黒人歌手の礎を築いたばかりではなく、後に「USAフォー・アフリカ」で、歴史的偉業である「ウィ・アー・ザ・ワールド」を主宰するなど、黒人音楽史に残る偉大な歌手であり、エンターテイナーである。不滅の芸術に、一人でも多くの人に接して欲しい。