何年振りだろう。「久しぶりにサンバのパレードを観て目の保養を」と、浅草に出かけた。電車を利用し、現地到着したのが午後一時。サンバカーニバルは一時半からと聞いていたが、既に学生などのブラスバンドや鼓笛隊のパレードが始まっていた。
見やすい場所をキープし、前から二列目で立って観ていた。一時半、本格的に始まった。Tバックのタンガで最小限の着衣で羽根を付けて踊っているスタイルのいい女性は最高の眺めである。こんないい眺めなのに、カメラで写真ばかり撮っている人がいる。あんないい景色をレンズ越しに見て何が楽しいのか。僕は、年に一回、いや、数年に一回、いやいや、これが生涯最後でもいい。生で観ないと意味が無い。
しばらくすると、僕の前で座って観ていた人が立ち去り、僕に場所を譲ってくれた。これで座ってじっくりと見物できる。それで、次々に登場するサンバのパレードを楽しんでいた。しかし、数時間経った頃から体力的につらく感じてきたのだが、意地で全部見ようと頑張った。
しかし、いつまで経っても終わらない。五時半になっても終わらないので、もう体力の限界と判断。見物を打ち切って立ち上がったのだが、ふらつきが酷い。考えが甘かった。炎天下で四時間半も、水も飲まずに見物したのだから。
とにかく水分補給しなければと周りを見ると、サーティーワン・アイスクリームが有ったので、オレンジ・ソルベのキングサイズを二個食べて、これは電車で帰るのは不可能と判断し、タクシーを拾った。
喉が渇いて仕方が無い。ポカリスエットを飲みたい。運転手さんに頼んでコンビニの前で止めてもらい、買いに行こうとしたら、運転手さんが気を利かせて買ってきてくれた。そして再び出発し、あっという間にポカリスエットを三本飲み干した。
そして、家までもうすぐという所で、事は起きた。突然、体中の筋肉が痙攣し、痛くて痛くて体も動かない。運転手さんに頼んで車を止めてもらい、外に出た。地面を転げまわって苦しんでいる僕を見て、運転手さんが、「救急車呼びますか?」。これはもう尋常な事態ではない。「お願いします」と答えた。
救急車が来た。しかし、体が痙攣してストレッチャーに横たわる事も出来ない。救急隊員に抱えられて、何とか乗る事が出来たが、とにかく体中が痛くて、つらくて仕方が無い。救急隊員に色々な質問をされた。力を振り絞って答えると、救急隊員が、「熱中症」ですね。との事。もちろん初体験。恐ろしい。
病院に到着し、点滴。とにかく次から次に水分を補給し、数時間が過ぎると、ようやく体の痙攣が引いてきた。点滴が終わったのが夜の11時。何とか動けるようになり、タクシーで帰宅。夜の11時半。まだ喉が渇いている。コンビニでポカリスエットを4本買い、あっという間に飲み干し、死んだように眠った。今朝、目が覚めた時、無事に目が覚めてよかったと、心から安堵した。
とにかく、無謀だった。炎天下で行動する時は、ミネラル・ウォーターなどの水分を大量に携帯し、適宜水分補給しないと、こんな事になる。大変な思いをした。あと、帽子や日傘も必携。完全武装で臨まないと、大変な事になる。今回は、本当に懲りた。今後は気を付けよう。
[追記、28日]
今、TBSのニュースでやっていたが、「サンバカーニバル」の楽しみ方を勘違いしている馬鹿が多いらしい。本文でも、写真ばかり撮っている見物人の品性について書いたが、踊っている女性の下半身や胸ばかりを撮影し、最悪の場合、DVDで発売している場合も有るという。もちろん、サンバなのだから、ダンサーのセクシャリティを楽しむ分には、もちろん自由だが、やはりマナーというものが有り、ましてや、エロ馬鹿連中の節操の無い撮影行為など、許される筈が無い。僕個人としては、サンバやボサノヴァなど、ブラジル文化を愛する一人として、このような品性の無い行為は日本の恥であり、見物する人たちのマナーは厳しく規制して欲しいと思う。それにしても、今年は50万人も見物人が集まったとの事。これからも、夏の終わりの風物詩として、健全に続いて欲しいものである。