僕は、チャイコフスキー「白鳥の湖」の決定的上演は、グリゴローヴィチ演出でジュライチスが指揮したボリショイでの上演がベストだと思っているのだが、今は、どう評価されているのだろう。
僕は、かつて、同演出、ジュライチス指揮という事で、生を観た事が有る。ただ、当時は旧ソ連がアフガニスタン侵攻を行い、世界中から非難されていた時であり、会場の外では、右翼の街宣車が大音量で抗議を行っており、異様な雰囲気の中での上演であった。
上演は素晴らしかった。しかし、ジュライチスは、上演中の拍手などを全て無視して演奏を続け、上演後には、カーテンコールにも現れなかった。
僕は今でも、「白鳥の湖」の決定盤は、ジュライチス指揮のボリショイ劇場管弦楽団による全曲盤だと思っているのだが、今でも、手に入るのは、僕が好きな曲が、ほとんど入っていない抜粋盤だけであり、アメリカのアマゾンでDVDを見つけて買って、音声だけをCD-Rに焼いて愛聴しているが、どうも海賊ビデオらしく、音質も画質も悪い。
他には、同じ演出、ジュライチス指揮で、伝説の名バレリーナ、プリセツカヤが「白鳥」を踊ったボリショイでのライヴビデオも持っているのだが、東京にはビデオプレーヤーが無く、見る事が出来ない。
いずれも、指揮、オーケストラともに素晴らしく、何と、トランペット・ソロが、あのヴィルトゥオーゾ、ドクシツェルなのである。何とも形容しがたい粋なトランペットで、これは、他の全ての録音に冠絶している。
録音は、日本のビクターが担当し、最高の音質。全曲盤のCD(出来ればSACD)復活を願いたい。
ここでは、この名演より、8曲を紹介しますので、情緒豊かな名演を、謹んで、お聴きください(MP3)。
アルギス・ジュライチス指揮ボリショイ劇場管弦楽団
ドクシツェル(トランペット)