Warez(ウェアーズと読むが、日本ではワレズと呼ばれていた)、今や死語だが、要するに不法コピーソフトの事である。Warez の代表は、画像編集ソフトの決定版である、Adobe Photoshop、Fraunhofer のMP3コデックなど。
これらのプロユースのソフトは非常に高価で、僕がインターネットを始めたのは1996年だが、プロテクトを外したアーカイブが世界中のFTPサーバーに置かれており、FTP Serch で、沢山のアーカイブがヒットしていた。また、特にロシアに多かったが、Warez を配布するサイトが有り、僕は特に、音楽関係のソフト(数十万円は当たり前)ばかり置いているサイトが有り、ご丁寧に「このサイトはいつ消えるかわからないので、今すぐダウンロードしてください」と書かれているサイトも有り、僕は片っ端からダウンロードしたが、数日後にそのサイトは消えてしまった。
今でも高価なソフトも有るが、全体の、特に人気ソフトの値下がりが進み、また、司法機関によるインターネットの監視が厳しくなり、今では Warez は皆無になった。
また、今でも語り草の、もう「キチガイ」としか言いようのない哀れな沖縄のT君とか、インターネットで人生を台無しにする人も多かったな。
また、原爆の作り方を書いたサイトも有ったような気がする。
それに、完全な屁理屈だが、アメリカのレンタルサーバーを借りて無修正違法画像を公開し、「サーバーがアメリカに有るのだから、日本では合法」と言い張る人がいたり、今は廃れたが、ニュースグループというシステムが有り、特に alt グループは完全な無法地帯で、物凄い記事ばかりで、本当に滅茶苦茶としか言いようがなかった。
日本にも、「下水道掲示板」などのアングラ掲示板が有り、匿名プロキシサーバーや匿名SMTPサーバー、シェアウエアのキーメーカー(シェアウエアをタダで使うソフト)など沢山のアングラ情報がやり取りされていた。当時は、今では当たり前のクッキーはオフ、海外の匿名プロキシサーバー経由でアクセスするのが常識だった。警察の監視も甘く、今では匿名プロキシ(「串」と呼ばれていた)経由でも警察が動けば簡単に正体がばれるが、当時は今のようなブロードバンドではなく、ダイヤルアップの時代であり、ダイヤルQ2プロバイダに番号非通知で電話をして接続し、海外の匿名串を経由すれば、NTTは絶対に情報を公開しないので、完璧な匿名性を実現できた。
掲示板荒らしも物凄く、セキュリティが甘くて人気の有る掲示板に、ターゲットの掲示板に嫌がらせのメッセージを書き込む IMG タグを書き込むと、その掲示板にアクセスが有るたびに、ターゲットの掲示板に嫌がらせのメッセージが書き込まれ、その掲示板は嫌がらせメッセージだらけになって最悪、掲示板がダウンしてしまう。今でも忘れられないのは X JAPAN の HIDE が自殺した時の、ファンサイトの掲示板は、荒らされ放題で大変な惨状になり、管理人は「疲れました」というメッセージを残してサイト全体を閉鎖してしまった。PerlDuke という掲示板荒らしスクリプトを使われると、もう手の施しようが無い。当時は「ゲスッ!」とか「あやしいわーるど」など、掲示板荒らしグループが有り、これらに目を付けられたら、もう最後である。もちろん今は、こんなセキュリティの甘い掲示板は無い。掲示板荒らしのタグを無効にするタグを書き込むANSOCという「正義」を名乗るグループも出来たが、このタグを書き込まれると掲示板が破壊されてしまい、ANSOCと日本コンピュータ・クラブ連盟の対立も物凄かった。
昔のインターネットは本当に無法地帯で、未成年の凶悪犯罪者の実名や写真が公開されたり、ヒ素入りカレー事件の容疑者の名前も、逮捕される日も、マスコミが報道する前に、ネット上に流れていた。また、不真面目な運営をする激安プロバイダのサーバーに侵入し、会員の住所氏名のリストを公開し、更にサーバー管理者を脅して TELNET ポートを開ける事を要求して捕まった少年がいて、これも実名がネットに流れていた。また、不謹慎なゲーム「地下鉄サリンゲーム」なども有った。
今でも管理不行き届きの巨大掲示板サイトなど有るが、「インターネットは決して匿名ではない」という認識が浸透し、警察の監視も厳しくなり、昔のような不法サイトは激減したが、ネットでの選挙活動を許可する法案が衆議院を通過するなど、また節操の無い活動をする人が出てくる可能性も有る。
とにかく、前の記事で書いた、Waves のプラグインが、今日だけ激安という記事を書いたら、色々なインターネットの思い出がよみがえり、懐かしい気持ちになっている。