昔、「真空管の選び方」という記事を書き、多くの方に読まれた記録が残っているが、現在は事情が変わってきている。
と言うのも、国産球の質の良い球の入手困難な現実が挙げられる。マイナーな球ならともかく、12AX7などのメジャーな球は、国産で、まともな球の入手が難しくなってきた。元箱入り新品と称する球でも、中身は中古だったり、セレクトから外れた球が多く、過去に、「国産球が良い」と書いた僕としては、今は認識を変えなければならない。
しかし、やはり真空管は不滅である。昔のロシア球の品質は最低だったが、最近のロシア球の品質向上は目覚ましく、EHゴールド、タングソルの復刻版、ムラードの復刻版など、まともな店でセレクトされたものであれば、どんな球かもわからない国産球よりも、余程よい球が手に入る。ひとまず安堵である。
なお、中国製の球は、完全に取り残され、「安かろう悪かろう」が殆どなので、セレクト品であっても、絶対に買ってはいけない。
真空管の世界には、伝説になっている名球が有る。12AX7のテレフンケンでロングプレートのダイヤマークが刻印されたものは、音の次元が違う。僕は、たくさん集めていた東芝12AX7を全て売りに出し、テレフンケンを入手した。この音には、もう参った。後戻りは出来ない。
真空管アンプは、半導体アンプでは絶対に得られない音色の艶や色気が有る。お金はかかるが、一人でも多くの人に、真空管サウンドの魅力を知って欲しいと願っている。