ドヴォルザークが書いた協奏曲としては、まずチェロ協奏曲がダントツ、次いでヴァイオリン協奏曲。ピアノ協奏曲は最も落ちるとされていた。
しかし、こんな組み合わせが、どんな経緯で生まれたのかはわからないが、とにかく、ピアノが無敵のリヒテル、しかも指揮がカルロス・クライバーというのだから、これは「必聴」としか言いようが無い。
クライバーが振った「協奏曲」の録音は、これが唯一ではないか。とにかく見事の一語に尽きる。それにリヒテルのピアノなのだから、これ以上の演奏は永遠に現れないであろう。
クライバーに、こんな「駄曲」を振らせるべきではない等と書いた馬鹿評論家がいたが、今回SACDになって音質が格段に向上し、リヒテル、クライバー共にベスト・パフォーマンスで、これは「歴史的名盤」であると思う。
クライバーの生に数多く接し、大ファンだった僕にとっては、非常に残念なニュースなのだが、クライバーの「死」は「自殺」であったという説が、現在では有力である。まさに「真の天才」。こんなに凄い指揮者は、僕が生きている間には、もう現れないであろう。