これは本当に快挙ですね。来年の「びわ湖」のコルンゴルト「死の都」舞台日本初演を指揮する沼尻竜典君の Facebook ページで書いた文章ですが、あそこは「友達」になるのが難しく、友達にならないと記事を読めないらしいので、こちらに再掲しておきます。
全音から、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲のスコアが出版されました。僕が日本初演した時にはミニスコアも無く、ライブラリアンの方に頼んで、指揮者用の大きなスコアをコピー製本してもらい、これは今でも僕の「家宝」ですが、日本初演にあたって、ソロ譜とピアノ譜、それにスコアを徹底的に照合しました。
ショット社の楽譜には、ミスプリントが無いではなく、一例を挙げると、終楽章の最後の音が、ソロ譜とピアノ譜では、下から「レ・レ・ミ・レ」になっており、どう考えても変なので、スコアを見ると、「レ・レ・レ・レ」で、当然この方が妥当だと思い、この音で弾きました。他にも、どう考えても和声的に変な音が、いくつか有り、こっそり変更しました。
全音で、この企画が立ち上がった時に、僕は、全音の担当の方からメールをもらい、変な個所を指摘する返信を書きました。遂に出版されて、スコアを見たところ、僕の指摘が全て修正されており、現時点で、この名曲の、最も信頼できるスコアが、日本から出版された事に、パイオニアの苦悩を嫌というほど味あわされた僕としては、もう涙が出るほど「感慨無量」としか言いようがありません。「遂に日本もここまで来たか!」という感じですね。
いずれにしても、この曲は、コルンゴルトの「最高傑作」ですので、沼尻君も、1冊買って、損は無いと思います。僕は、保存用と研究用に2冊買いました。そんなに売れるとも思えないので、第1版第1刷で品切れになる可能性も有りますので、買うのであれば、お急ぎください。日本のアマゾンで、現在「7点在庫有り」との事です。
それにしても、生誕100年、没後50年も過ぎましたが、これは、全音の「快挙」ですね。日本のパイオニアとして、こんなに嬉しい事は、有りません。
では、「死の都」に向けて、頑張ってください!!