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Channel: マエストロ時津英裕のブログ
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カルロス・クライバーの「カルメン」DVD

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クライバーのDVDは、海賊ビデオも含めて、ほとんど持っていたのだが、この「カルメン」だけは無かった。1978年のウィーンでの上演で、大昔にNHKで放送され、もちろんビデオ録画し、何度も何度も観た思い出の上演である。当時は音声多重放送でもなく、ビデオも Hi-Fi でもないモノラルで、DVDでは、画質や音質が格段に向上している。もちろんステレオ録音。

全盛期のドミンゴのドン・ホセと、ブキャナンのミカエラ以外の歌手には、問題が無いではないが、水準は出ている。それに、ゼッフィレッリの超豪華な演出。それに、何よりも、ウィーン・フィルを指揮するクライバーのダイナミックで劇的な指揮姿!こんなに指揮者がよく映るオペラ映像も珍しい。多分、史上最高の「カルメン」であろう。

クライバーのビデオはたくさん持っているが、こんなに嬉しそうに、幸せそうに指揮しているクライバーは、他に無い。とにかく「天才的」で「かっこいい」という意味で、20世紀でこれ以上の指揮者は絶対にいない。

僕のクライバー初体験は、1981年スカラ座来日公演の「オテロ」で、当時僕は19歳。オテロ役は、もちろんドミンゴ。劇的な表現(ピットの中が赤い炎を上げて燃えているようだった)、ダイナミックでかっこいい指揮姿に魅せられて、「これでカラヤンの時代は終わった」と思った。その後、1986年の来日東京公演は全て聴き、最後は1988年スカラ座の「ラ・ボエーム」。どれも、僕にとって「生涯の宝」と言うべき、空前絶後の体験だった。

さて、久しぶりに観た「カルメン」のDVDだが、ドミンゴの「花の歌」の後の拍手があまりにも長く、途中がカットされているのは残念だが(NHKでは延々と放送された)、懐かしい映像、演奏、それに沢山のクライバーの生体験、それで、悲劇的な死(あえて書かないが、業界では常識)など、色々な思い出が交錯し、最初から最後まで涙が止まらなかった。

アマゾンで2300円ほど。これは海賊盤ではなくDENONの正規DVDで、画質も音質も良いので、「絶対にオススメ」です。


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