今となっては知る人も少ないかもしれない。チェコが生んだ20世紀最高のピアニストの一人である。若い頃から活躍していたが、服を着る時に腕をひねってしまい、腕に支障をきたし、10年間全くピアノが弾けなかった。
しかし、不屈の精神でリハビリを続け、遂に復活した。僕は、スメタナ・クァルテットと共演したドヴォルザークのピアノ五重奏曲の生を2回聴いたが、スメタナ・クァルテットの素晴らしさは言うまでも無く、特に、阿吽の呼吸で絶妙なアンサンブルを築き上げたパネンカの素晴らしさは忘れがたい。
パネンカは1999年に亡くなり、スメタナ・クァルテットも過去の団体になったが、来日数も多く、特にパネンカは、室内楽の名ピアニストとして、多くの日本の聴衆に忘れがたい感銘を与えた。
このコンビによるドヴォルザークのピアノ五重奏曲は、最良のスタジオ録音がCD化されている。これ以上の演奏は考えられない。曲はもちろん素晴らしいが、曲の素晴らしさを最大限に引き出したスメタナ・クァルテットとパネンカの息の合った素晴らしさに、言葉を失う。これは別格である。知らない人には、是非聴いていただきたい。