ホルストの「惑星」といえば、まず作曲者ホルスト自身が指揮した古い録音が有る。マニアなら聴くべきだが、いかんせん録音が古く、演奏も、専門の指揮者には及ばず、資料的価値が有るという事以外、必聴盤とは言えないし、僕はLPで持っているが、CD化されているかどうかもわからない。
この曲は、演奏効果が高いので、オーディオマニア向けに録音に凝ったレコード(CD)が多く、一部の保守的な馬鹿評論家からは無視されてきた。しかし、純粋にイギリス音楽として聴くと、これは文句無しに名曲である。そして、その二大名盤が、カラヤンと初演者ボールトなのである。
まず初演者エードリアン・ボールト、ボールトには数種の録音が有るが、最も新しい1978年ロンドン・フィル盤が最も素晴らしい。まさに正統派イギリス音楽として、これ以上の演奏は考えられない。そして、この曲を大衆に知らしめたという意味では、1961年のカラヤンがウィーン・フィルを振った歴史的名盤。
この二大名演が、このたびSACDとしてリマスタリングされ、かつてない音質で蘇った。音質の改善度は想像を超えていた。比べてどちらがいいなどと言っていられない程、どちらも素晴らしい。しかし、カラヤン盤は、録音が古い分、音質の点で劣るのは仕方がない。しかし、カラヤンの巧みな指揮には唖然とするばかりである。当時のウィーン・フィルも本当に素晴らしい。
別に「惑星」の全てのCDを聴いたわけではないが、「惑星」に関する限り、この2つの演奏を聴けば十分である。そして、今回は音質の改善が想像を絶する素晴らしさ。SACDプレーヤーを持っている人は必聴である。