僕は、ジーンズに特別なこだわりを持っており、詳しくは、こちらで詳述しているが、リーバイス501は別格としても、「究極のジーンズ」が欲しければ、オーダーメイドしか無い。
オーダーメイドのジーンズ店でも、JOMのような最低の店も有れば、D26屋(デニム屋と読む)のような、魂のこもった職人芸で、真摯な仕事をする店も有るなど、玉石混交なので、十分に調べて店を決めて欲しい。
さて、D26屋では様々な生地を選べるのだが、中で、特別に異彩を放っている生地が有る。それは、「正藍」である。値段の高さにも驚くが、これはつまり、現在主流の合成藍(インディゴ)ではなく、日本の伝統芸である天然インディゴで染めた糸で織られたデニム生地なのである。
天然インディゴは、独特な味わいが有るが、合成インディゴに比べて、何倍もの回数の染める手間がかかり、とても現在の合理主義にはふさわしくない。ジーンズの値段は、おおむね1万円前後だが、大昔(20年以上昔)に、リーバイスが天然インディゴのジーンズを発売した事が有った(値段は確か48000円だったと思う)。買おうかどうか迷ったが、実物を見ると、染める回数が少ないようで、味わいが薄く、買わなかった。
さて、今回のD26屋の生地、値段が値段なので、サンプルを送ってもらったところ、もう本当に素晴らしい生地で、注文を決意し、店の主人と縮みなどを詳細に打ち合わせた上で採寸して注文した。一か月後に完成して送られてきたが、もうこれは「世界一!!」のジーンズなのではないか。オーダーメイドだから、もちろんジャストフィットで、深い藍染の味わい、風合いも最高で、これ以上は考えられない!!
値段は安くはないが、何事も合理主義の昨今、こんな魂のこもった素晴らしい仕事をする店が有るのは、「世の中もまだまだ捨てたものではないな」と、心の底から思った。
ただ、ジーンズは、穿きこんで洗濯を繰り返す事により、味わいが出てくるのだが、ここまで高価なジーンズだと滅多に穿けない。しかし、穿かないと味わいが出ない。くだらないジレンマと闘う事になりそうである。