僕は、日本における「コルンゴルトのパイオニア」だが、報われる事は何もなく、「パイオニアの苦悩」を嫌というほど味あわされているが、現在、コルンゴルトに対する偏見が無くなり、20世紀を代表する作曲家の一人として認められた事は、嬉しい限りである。
しかし、プロは「金にならない仕事は企画しない」という現実は厳しく、ほとんどの名作の日本初演はアマチュアによるもので、冒険的なアマチュアリズムには敬意を表するが、日本の楽壇の低レベルさに呆れてしまう。
日本初演で残っている曲は僅かだが、「チェロ協奏曲」。短い曲だが、テクニカルで弾ける人は限られる。
それで、桐朋で一緒だった、チェロの超絶的テクニシャンであり、日本音楽コンクールで優勝した、現在日本で最高のチェリストの一人である山本裕康君に、フェイスブックで日本初演を依頼したところ、乗り気になってくれて、この発言には20件以上の「いいね!」が付き、「コルンゴルトもメジャーになったものだな」と、喜びを禁じ得ない。
山本君は、京響に客演した時に、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲の伴奏を務めたらしく、「素晴らしい曲」と言ってくれた。
ここは是非、「プロの実力」で、チェロ協奏曲の日本初演がなされる事を、強く期待したい。